預金封鎖対策の決定版と言えば海外銀行口座!ではなくなりつつある動き
「海外預金口座に資産を移せば、預金封鎖が起こっても絶対安全です」
「賢いあなたは夢の無税国家、香港やシンガポールで預金口座を開きましょう!」
2000年前後から、このような内容の書籍が書店の経済コーナーにあふれるようになりました。
実際、日本の金融危機、赤字国債、年金破たんの不安がクローズアップされ出したのもこの頃でしたね。
私ももちろんこの海外口座本に飛びつきました。
読んでいるうちに、すぐにでも香港やシンガポールのタックスヘイブン国で自分の口座をつくらなきゃと思ったもんです。
日本人にはハードルの高い海外銀行口座
でも、結局今まで、海外銀行口座はつくれていません。
実際に海外銀行口座をつくるとなると、下記のようなハードルが存在します。
- どんどん厳しくなる日本の現金国外持ち出し制度(100万円以上は申告必要)。
- 口座開設時に銀行員とコミュニケーションがある程度とれるレベルの英語力があるかをチェックされる。不合格のときは口座開設を拒否される。
- 銀行口座を作るために海外旅行で大枚はたいて行くことの価値とは。
- 香港に対する中国本土の支配がどんどん強まっているチャイナリスク問題。
- 口座の維持が結構大変。凍結されたら現地まで行かないとお金がひきだせなくなることもある。
これらのハードルは、専門家に問い合わせるとか、自分で勉強を重ねるとか、それなりの覚悟をもって取り組むことでクリアできたのかもしれません。
ただ、日本の財政が危機だと言われてもまだ先の話じゃないだろうかと思っていたし、海外銀行口座をつくることで、時間やエネルギー、お金を費やして、自分の仕事や日常生活に影響を受けるのも、なんだか本末転倒な話じゃないかという気持ちもあったんです。
海外銀行口座をつくるためには、現地への渡航代金や代行業者に払う料金などもかかります。一番近い香港でも、合計10万円以上かかります。それらをすべて負担して、はるばる現地に足を運んだのに、銀行から冷たい扱いを受けた上、結局口座作成を拒否されて、泣く泣く帰国した人もたくさんいるようです。
恐ろしすぎる!
海外銀行口座が金融当局に筒抜けになる悪夢
海外銀行口座はつくるのも維持するのも大変です。
大変だけど、どこかで思い切って海外口座をつくりに行かなきゃなあと考えているときに、こんなニュースが飛び込んできました。
「海外の口座情報を監視 富裕層の税逃れ防ぐ。国税庁、18年から 40カ国超と連携」
2015/1/19付 日本経済新聞
この40か国には香港やシンガポールも含まれています。
日本の金融当局の目が届かない場所に資産を置く目的で口座をつくりたいのに、筒抜けになるんでは、意味がありません。
最近のイスラム国をはじめとするテロ資金のマネーロンダリング問題は全世界的な問題となっていますが、それを撲滅するためには各国が協調するのは当然という流れから、このような仕組みが合意されたのでしょう。
たしかにテロは撲滅してほしいとは思いますが、国家が個人の資産情報に簡単に介入できるシステムが増えるのは、息苦しい世の中になる気がします。各国政府にはテロ問題を口実に、国民の資産の逃げ道を狭める仕組みを導入できれば都合がよい、という思惑も当然存在するでしょう。
マイナンバーで国内銀行の口座情報が当局に完全把握される流れはほぼ確定しているので、自分のようにそれではいよいよ海外口座をつくらねば、と考えていた人たちは、金融当局に先回りで逃げ道をつぶされた気分ではないでしょうか。
個人でできる対抗手段とは
こうなると、個人が国内外の資産をすべて国家に把握されて、預金封鎖から逃れるすべはもうないじゃないのか、ということになりそうですが、対抗手段はまだ残されています。それは
「銀行に依存しすぎない生活スタイル」
これからの時代は、この発想が重要だと思います。
「銀行に依存しないなんて、そんなの無理に決まってる」
と考える人も多いでしょう。
もちろん、急にそれを実行するのは難しいでしょうが、少しずつそんな生活に近づけていくことはできるのです。
マイナンバーが銀行に完全に紐づけされる2021年までにはまだ時間が残されています。
具体的な方法については別の記事で書いていこうと思います。