2013年3月16日、キプロスでは銀行預金封鎖が予告もなしに実行され、全国民の銀行預金に税金が課せられるというとんでもない状況が起こりました。
長い間財政難に陥っている日本でもキプロスのような預金封鎖がいつ実行されるのか、恐れを抱く人々が増加しています。
また、2016年より施行されるマイナンバー制度は、この預金封鎖への準備という見方があります。
預金封鎖とは、銀行にある国民の預金の引き出しを不能に、または制限する政策です。
国民が何もできない状態にしてから、矢継ぎ早に国民の預金を奪う政策を実行していくのです。奪った預金は国家の借金の返済に使われます。国民が貯金を逃がす余裕を与えずに、ある日突然断行するのがポイントです。
最近ではロシアやキプロスがデフォルト状態になり、この預金封鎖が実行されました。キプロスでは預金額の10%程度が没収、ロシアではほぼ全額没収でした。
そして実は、この日本でも、現実に預金封鎖が実行された実例があるのです。
1946年2月17日、ラジオ放送の方法で驚愕の政策が突如発表されました。
「明日よりあらゆる銀行預金が封鎖され、預金引き出しが不可能になります」
「生活費として、世帯主300円、世帯員1人辺り100円まで引き出しを認めます」
「手元の現金は新円に切り替わります。そのお札は2週間後から紙くずと扱われます。今あなたが所持している現金は銀行に預けましょう」
引き出すことができなくなった預金は預金税として国に徴収されました。資産家の中には預金額の90%が収奪された人もいたそうです。
その上、新しく発行された新円は価値を大きく減らされており、
日本国民は実質的に所有資産の大部分を没収された形となりました。
第二次世界大戦後、経済面で消耗しきった各国は国家運営のためのお金をかき集めるために、さまざまな形で国民から税金を徴収しようと試みました。
その方策の一環が、預金封鎖だったのです。
すべての日本人の銀行預金を引き出せないようにし、預金税という口実で有無を言わさずに強制徴収を断行したのです。預金封鎖は様々な国で行われたのですが、国家政策として、大成功したのは、結局日本だけでした。
当時の日本はまさに戦後のドサクサ状態で、預金封鎖のような強硬手段をとりやすい環境だったのです
問題は、「現代の日本が実際に預金封鎖を実行する可能性はどのくらいあるのか」ということでしょう。
現代の日本は表面上は豊かに見えますが、現実には1000兆円を超える借金が積み上がり、戦後焼け野原の日本を上回る財政破たん状態と言われているのです。
ギリシャのようになぜ財政破たんが表面化しないのか。それは日本人の貯金などの総資産が1000兆円以上存在するからです。日本政府は勤勉な日本人の性質につけ込んで、その貯金を担保に借金しまくっているわけです。
マイナンバー制度が2016年に運用開始されます。国民1人1人の預金額や保有資産を政府が把握することを目指す法制度です。これは、我々個人の財産から徴収する金額を把握するのにぴったりの仕組みだと言えます。
戦後間もない時期は、まだ明治憲法下だったので人権抑圧して国民の貯金を奪うのは容易でした。現代ではもちろんこのやり方は不可能です。だから、国民の資産把握を法制度としてつくってしまえば、合法的に同じことができるというわけです。
一応先進国の日本の政府が預金封鎖をどの程度現実的に考えているのか、もちろん正確にはわかりません。
しかし、ロシアやキプロスでは実際に預金封鎖が実行され、国民の預金没収がありました。どこの国であろうと、財政破たんしてしまえば、やるべきことはそれほど変わらないという見方もあります。
日本の借金はロシアやキプロスを上回る人類始まって以来の規模である、ということも押さえておく必要があります。
そして、政府のマイナンバー制度導入などの一連の動きから考えると、少なくとも政府がいつでも預金封鎖などの強硬手段で、国民の財産をいつでも収奪できる実行環境を整えつつある、と見るのが自然ではないでしょうか