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AI(人工知能)でなくなる職業・消える仕事 シンギュラリティ時代を生き残る方法は?

AI(人工知能)の発達によって、人間の仕事を奪う(失業に追い込まれる)状況がどんどん進行していくだろうと予想する研究結果が注目されています。

 

オックスフォード大学の研究によると、あと10年もすれば、アメリカの総雇用の47パーセントがコンピュータで自動化される(つまり47パーセントの雇用が消える)という結果が出ています。

 

たったの10年で世の中の職業の半分がなくなるなんて、にわかには受け入れがたい話ですが、その兆候のようなものが少しずつ日本でも出現してきていると思うのです。

 

例えば、現在大騒動になっている三浦九段の将棋スマホカンニング問題があります。

 

 

 

将棋ソフトがプロ棋士の実力を凌駕するようになってから、「離席中に対局相手がスマホの将棋アプリを見てカンニングしているのではないか」という疑心暗鬼がプロ棋士の心の中に生じるのは防ぎようがないことです。

 

現状では三浦九段が冤罪を掛けられたことはハッキリしていますが、もはや事態は三浦九段個人の名誉回復の問題にとどまらなくなってきました。

 

今後は「コンピュータより弱い将棋プロ棋士という職業は果たして必要なのか?」という疑問がクローズアップされてくるでしょう。

 

もちろん、これは将棋棋士だけではなく、私たちも「明日は我が身」の立場になるかもしれない問題なのです。

 

 

AIにターゲットにされそうな仕事とは

 

真っ先にAIに脅かされる職業と言えば、資格のいらない職種、単純作業などの低賃金の仕事を思い浮かべる人が多いでしょう。

 

ところが、実際には高収入の職業がターゲットになりやすいという見方があります。

AI研究者も社会的価値の高いAIを作りたいという名誉欲は当然あるでしょうし、高収入の仕事を自動化する経済効果が高いですからね。

 

・銀行員

・弁護士

・公認会計士

・税理士

・裁判官

・医師

 

これほど高度な専門職が本当にAIに置き換わるのだろうかとすぐには信じられない職種ばかりです。

 

しかし、そもそも専門職の本質である大量の知識やデータから適切なものを抜き出して判断を下すという行為に関しては、AIの得意分野になっているのです。

 

例えば、IBMの人工知能ワトソンは膨大な医学論文から白血病患者の適切な治療法を発見し、生命を救うことに成功しました。

 

医学論文は2000万件以上、薬剤情報は1500万件以上もの莫大な数が存在しますが、そのすべてを人間の医師一人が把握することは不可能です。

しかし、AIならば一瞬でそれができるのです。

 

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)で開発された人工知能の「裁判官」に欧州人権裁判所で行われた裁判の判決を行わせ、比較したところ、精度は79%だったということです。

 

そして将棋や囲碁のプロ棋士も大量の知識データを元に判断を下すタイプの職業ですから、AIに脅かされる第一候補に入ってくるわけです。

 

もちろん、医療にしろ裁判にしろ当事者である人間には、AIなんかに判断されるのは嫌だという感情は残るので、単純に移行するのは難しいとは思いますが。

 

 

AIから生き残る職業は?

 

 反対にAIがレベルアップしても、生き残る職業はどういう分野になるのでしょうか?

 

まず、対人関係での高度なコミュニケーション能力を要求される接客サービス業や営業職が考えられます。

 

現時点での人工知能には、対話での細かいニュアンスを読み取ってサービスを提供する行為は不可能だからです。

 

それから、音楽家や画家などの芸術家、作家や詩人なども当分は大丈夫でしょう。

現状のAIで人間の脳を再現できているのは大脳皮質などほんの一部であり、創造性を司る脳のさらに奥深い部分の能力には到達できていません。

 

さらに、AIから生き残る職業として、ちょっと意外ですが「低賃金の仕事」が考えられます。

 

清掃、工場労働、介護、ウェイトレスなどの仕事は賃金が安い分、それを肩代わりするAIの開発費が採算に合わないからです。

 

工場労働やレジ打ちなどは、すでに機械化している部分はありますが、人手を使った工程もまだまだ多いですよね。

その機械を導入するのに何十億もかかることを考えれば、安い賃金の人手を使った方が、安上がりに済むというのが現実的な考え方なのです。

 

 

シンギュラリティが到来したら人類の仕事はほぼ全滅?

 

最近のAI研究でよく取沙汰される概念に「シンギュラリティ(技術的特異点)」というのがあります。

グーグル研究員のレイ・カーツワイル博士という人が提唱していて

「AIの能力は幾何級数的に進歩し、2045年には全人類の能力を凌駕する」

と主張しています。

 

このシンギュラリティという概念は荒唐無稽と主張する研究者も多く、確実に到来するかは断言できませんが、カーツワイル氏はこれまでに数々の未来予測を的中させているので、熱狂的な信仰者が存在するのです。

 

また、カーツワイル以前には、ジョン・フォン・ノイマンというアメリカの数学者が、シンギュラリティの到来を予測する発言をしています。

ノイマンは現代のコンピュータと原子爆弾の生みの親であり、IQは300を超えていた大天才ですから、シンギュラリティにはかなりの信憑性があると考えたくなります。

 

また、最近になって「ディープラーニング」という手法が活用されるようになり、人間がAIに細かい設定をしなくても、幼児のように自動的に学習してしまうことができるようになりました。

 

このディープラーニングを使うことで、今年2016年3月に、グーグルのアルファ囲碁というAIシステムが世界最強のプロ囲碁棋士、イ・セドルに圧勝してしまったのです。

 

AIが囲碁でプロ棋士に勝つまでにあと10年かかると予想されていたため、この勝利はカーツワイル博士の言うシンギュラリティ(進化の加速)を裏付けるものという見方があります。

 

世界で最も複雑なゲームと言われる囲碁でAIが人間に勝利したとなると、さらにその先の人間のさまざまな認識能力にまで、AIが肉薄していくことが容易に想像できます。

 

例えば、AIが人間の言語能力を習得するまでに10年かからないという予想があります。言語というのは人間の思考能力そのものと言えますから、AIの進化からはまだ安全圏だと思える接客サービスや営業の職業まで失業の危機が出てくるかもしれません。

 

音楽家や画家などの芸術家はさすがに大丈夫だろうと思いたいところですが、実はすでにAIでも芸術作品を作ることはまったく不可能ではないのです。

 

AIがレンブラントやバッハの作品を分析して、本人が作ったような作風の作品ができてしまいます。レンブラントの絵は素人が見ても、どちらがレンブラントでどちらがAIなのかわからないレベルらしいです。

 

現時点でのAIは偉大な芸術家の作品の表層をなぞっているだけだと言われればその通りですが、それなりのレベルの作品ができてしまうのがすごいと思います。

 

将棋や囲碁で天才ともてはやされたプロ棋士たちには、コンピュータに負けることは一生ないと豪語する人たちもいましたが、結局AIに敗れ去っていきました。

 

芸術家の創造力だけは絶対にAIに負けることはないという気持ちがあったとしても、2045年までにはあっさり凌駕される可能性もあることを頭に入れておく必要があるのではないでしょうか。

 

AIの発達にどう対処すべきなのか

 

どう立ち向かうべきかについては完全に個人的な見解になってしまいます。

 

「対決したりネガティブな反応はせず、むしろAI研究を応援する」

 

これが私の答えです。

 

将棋や囲碁のプロがAIに惨敗するのを快く思わない人は多いと思います(7,8割はそうかも)。

 

しかし、これを科学の偉大な進歩の表れとしてみればどうでしょう。

 

AIが進歩すればどんな恩恵があるかを見てみましょう。

 

・火星など惑星探査の能力が飛躍的に上がる。人間がわざわざ危険な宇宙旅行をしなくても同等の調査結果を得られる。

・ガンなどの不治の病治療法を臨床・基礎研究両面でAIが解決できるようになる。

・バイオテクノロジーのブレイクスルーによるエネルギー・食糧問題の解決

・人間の代わりにAIロボットが労働をしてくれるようになれば、失業問題の解決どころか、人間は原罪とも呼ぶべき労働から解放される。

 

人間能力を上回るAIの出現とは、つまりアインシュタインレベルまたはそれ以上の科学者がいくらでも量産できる状態になるのと同じなのです。

 

さらにAIは人間のように疲れたり、睡眠をとる必要がありません。

だから365日24時間休みなく研究活動ができるようになります。

 

あらゆる科学の分野でブレイクスルーが起きて、人類が異次元のレベルに達するとしたら、これほど素晴らしいことはないと思います。

 

そうなってしまえば、仕事やお金の問題なんて実にちっぽけなことではないでしょうか。

 

私自身はシンギュラリティがもたらす未来を知ってからは、むしろそんな社会が早く来るように、自分自身が参加者になりたいと思うようになりました。

 

AI研究を応援するというのは、具体的には下記のようなことを実践することだと考えています。

 

・AIについてもっと深く勉強して詳しくなる

・自分の身の回りの人に、AIの素晴らしさを広める。

・最先端のAIを使った製品をできるだけ購入する

・AIについてネガティブな見方はやめる。極力ポジティブに

 

特に最後のネガティブな見方をやめるというのは重要です。

過去のAIブームの時も、AIに対してネガティブな捉え方をする学者が増えたせいで、ブームが収束してしまった歴史があるからです。

 

 

「そんな何十年の先の理想よりも今日明日の食い扶持のほうが大事。AIなんか法律で規制すべき」

 

という意見も理解できるところはありますが

 

こういう人たちが抵抗勢力となって、さまざまな科学の進歩を妨げている側面を重視する必要があると思います。

 

このような人たちを、カーツワイルはラッダイト (技術革新反対主義者)と呼んでいます。

 

2045年どころか2030年代にシンギュラリティが到来する可能性だってあるそうですよ。

 

そこまでAIによる職業淘汰から生き残るためには、

 

・常に脳内の情報をアップデートして、時代遅れの仕事をしないこと。

・もし、そんな職業についていたなら、転職を視野に入れる。

・自分のやっている仕事内容でコンピュータに代用できるものはないのか、もしそれがあるなら、積極的にPCデバイスを購入して、使いこなせるように勉強する。

・自分の収入を一つだけの仕事に頼らない(副業・投資)

 

といった対策をおススメしたいと思います。