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イタリア・ローマのボッタクリ文化 観光馬車、悪質ミサンガ売り、ジプシーのスリ窃盗への対策

 先日、イタリアのローマに旅行に行ってきました。


イタリア・ローマといえば、今でも古代ローマ帝国の巨大遺跡が数多く残る憧れの観光地です。


ローマには5年前に一度訪れているので、今回が2度目の訪問になります。


映画ローマの休日で有名なスペイン階段にも訪れたとき、階段下のスペイン広場に目を移すと、華やかな観光馬車がたくさん止まっていました。


「すごい立派な馬車ですね。あれに乗ってローマの街を回れたら素敵だろうな」


と同行のイタリア人ガイドさんに言ってみると


「とんでもない!あそこにいるのは全部ぼったくり馬車です。法外な値段を吹っ掛けられるのがオチなので、絶対乗ってはダメですよ」


と注意されてしまいました。


この観光ガイドさんから、観光馬車などのローマにはびこるボッタクリの手口を教えてもらうことができたので、このブログに書いてみたいと思います。

 

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恐怖!ボッタクリ率100%のローマ観光馬車の手口

 

ぼったくり観光馬車の手口は大体次のような流れです。



街中に観光馬車なんて珍しくてかっこよく見えるので観光客として近づいて写真を撮りたくなります。



そうすると馬車の御者と思われる男が人懐っこい笑顔で近づいてきます。



「日本人お金持ち大好き馬車でローマの街を回ったら楽しいよ。安くしとくよ。1時間150ユーロでどう?」



(ちょっと高いけどローマなんて滅多に来れる場所じゃないし、思い出作りにちょっと乗ってみるか・・・)。



旅行となると、財布の紐が緩んでしまうのが人情ですから、あなたは誘われるように馬車に乗り込んでしまうかもしれません。



乗車したあなたに対し、御者は最初は人懐っこい調子で片言の日本語を交えて喋りかけてきます。



たくさんの車の行きかう道路上で馬車を器用に操りながら、ローマ市内の観光名所について、英語で丁寧に説明をしてくれます。



そして、目的地に着いた途端、このフレンドリーな態度が一変するのです。



御者の口から出た料金は6万ユーロ(65000円程度)。



あまりの高額さに呆然としているあなたに、御者はこんな感じの理由をまくしたてます。



「私はフィフティ・ハンドレッド・ユーロと言った。フィフティーン・ハンドレッド・ユーロではないあなたの英語力が低いせいだ」



「150ユーロは一人分の価格で全員分ではない。だから人数分だけ払え」



「ローマの特別な区域を通ったから追加料金が発生したのだ」



何しろ、馬車の料金を明示する文書などどこにも存在しないので、用意していた理由を適当に組み合わせて、値段を釣り上げていきます。



事前交渉をして金額をしっかり確認すれば大丈夫じゃないと思うかもしれませんが、相手次第でそんな約束は破棄して、口八丁でいくらでもふっかけてくるでしょう。



英語能力が低くて、馬車料金の相場もよくわからない日本人なら、ほぼ100%払わされてしまうことになるわけです。




ローマの観光馬車がほぼ100%ぼったくりというのは地元では常識となっています。



ローマ市街の公道を堂々と利用しているのだから、公的なお墨付きがあるビジネスなんじゃないかと思いたくなるところですが、そんなものは存在しないらしいのです。



最近ではネット情報などから観光客の間でも、ローマのボッタクリ馬車のことはかなり浸透していて、観光馬車を利用する人はかなり少なくなっています。



そのため、ごくたまに引っかかる情報弱者の観光客からは何が何でもぼったくるという執念がすさまじいので、とても危険です。



というわけで、皆さんもローマに行った時は観光馬車には絶対近づかないようにしましょう。



うっかり乗ってしまった場合の対処法ですが、御者が高額要求をしてきても、当初の約束の値段(例えば150ユーロ)だけ渡して、馬車を降りるのがいいでしょう。



御者がしつこく抗議する場合は、ビデオで相手を撮影しながら、警察(ポリス)を呼ぶと伝えましょう。



そもそも領収書が切れない違法ビジネスですから、馬車の御者はそれ以上何もできません。



ローマのボッタクリ馬車については、以前地元のイタリアでもテレビ番組で特集されていたそうです。



乗せた相手が観光客でないと分かると、御者は大慌てで乗客を降ろして逃げ出したということです。

 

 

悪質ミサンガ売りは大人しそうな観光客を狙っている

 

もう一つガイドさんが教えてくれたのが、悪質なミサンガ売りの手口が増えているということです。



私が旅行していたイースターの時期は、警官のパトロールが増員されていて、ミサンガ売りの連中はいませんでしたがほとぼりが過ぎれば、また出てくるだろうとガイドさんを言っていました。



ローマだけではなくミラノなどの観光都市さらにその他のヨーロッパの観光都市にも出没しています。



スペイン広場コロッセオ周辺などの観光名所に行くと、ミサンガの束を持った黒人や肌の浅黒い連中がうろうろしています。



よくある手口を説明すると。



日本人を見つけると「ナカタ~ナガトモ~」などと有名日本人の名前を口にしながら、親し気な笑顔をたたえて近づいてきます。



日本人を好きなフレンドリーな人達と思って喜んでしまったら、これが大間違い。



彼らはいきなりあなたの手首にミサンガ巻きつけてきます。



いらないと伝えても、フリー、フリー(無料)と言いながら、巻き付けるのをやめようとしません。



次の瞬間、彼らのフレンドリーな態度はどこかに消え失せ、怖い顔で金銭を要求してきます。



そしてミサンガはというと、しっかり固く結ばれ簡単には取れなくなってしまいます。



簡単には取り外せない状態にした=アンタに完全に売ったよ、という理論です。



すごい理屈ですね。



金額は10から30ユーロ(1200~3600円)が多いですが、財布の中身を覗き込んできて、こいつはカネを持っていると踏むと、要求金額はどんどん跳ね上がっていきます。



中には300ユーロまで取られた人もいるそうです。



このミサンガ売りはタチの悪いことに仲間を近くに待機させていたりします。



そんなものは払えないと抗議しても、仲間を呼んで、周りを取り囲み、数の力で払わせようとしてくるのです。



異国で背の高い黒人に取り囲まれてすごまれたら、ほとんどの人は恐ろしくなって払わされてしまうのではないでしょうか。



最近はツアーではなく個人でイタリア旅行に行く日本人が多いようですが、そのような人は悪質ミサンガ売りの格好のターゲットです。



悪質ミサンガ売りの対策としては、片言の日本語を交えて親しげに話しかけてくる人物は絶対相手にしないこと。



また、仮にミサンガを巻きつけられたとしても、絶対財布を出さないこと。



お金を払う必要は一切ありません。



可能であれば、速やかにその場から離れるべきです。



観光名所ならば、警察が常駐していることが多いので、そこまで逃げて行って、ボッタクリに遭っている(I was suffering from Rip-off.)と伝えましょう。



しつこくつきまとうようなら、警察を呼ぶぞ!(I will call the police.)と英語で叫びましょう。



大勢の人間に詰め寄られると恐怖が先に立ってしまいがちですが、白昼堂々の公共の場所では連中も何もできません。



逆に言うと、これができない日本人は個人旅行でローマに行くべきではないということになります。



日本人ははっきりノーということができない人たちが多いと見られているので、カモとして狙われやすいという悪循環になっています。

 

 

ジプシー・ロマのスリ窃盗に常に最大限の警戒が必要

 

ローマで一番注意しないといけないのはスリなどの窃盗です。



これは皆さんが想像しているよりはるかに多いです。



有名観光地や駅など人がごった返しているところは、それこそスリがウヨウヨと存在し、カモになりそうな観光客がいないか辺りを見回しています。



重いスーツケースを持って周囲への注意が散漫になっているような観光客は真っ先に狙われるでしょう。



スリに関しては私たちも以前のイタリア旅行で被害にあったことがあります。



テルミニ駅から電車に乗るとき、重いスーツケースを棚ににあげるときに見知らぬ女性が近づいてきて、何事か話しかけてきました。



何を言いたいかはさっぱりわからなかったのですが、何となく手伝ってくれるような素振りだったので、サンキューと伝えました。



列車が出発してしばらくすると、バッグの中の財布がなくなっていることに気がついたのです。




スリをやってくるのはジプシーやロマなどの有色人種系の人たちが多いです。



ジプシーは独特の服装をしているので見分けることは割と簡単ですが、時々普通のイタリア人の服装をしているジプシーもいるので体の顔立ちなどしっかり覚えておく必要があります。



特定の人種を色眼鏡で見るのは良くないとはよく言われることですが、そんな綺麗事を言ってると、このローマでは身ぐるみ剥がされてしまうことになりかねません。



また、イタリアの駅には日本のような改札口がないので、列車の切符を買わなくても電車に入ることができてしまいます。



電車に乗ってホッとしたときが一番危ないと言えます。



海外でスリなどの窃盗にあって、その補償を受けるためには、現地警察の被害届の文書が必要になります。



イタリアの警察署にスリの被害届を作成してもらいに行ったのですが英語がなかなか通じなくて大変苦労しました。



英会話はゆっくりなら多少聞き取れるつもりでいたのですが、イタリア人の英語は訛りが独特で、単語レベルでさえ聞き取るのに苦労しました。



後から思いついたことですが、警察署に行く前にタブレットの翻訳アプリなどを利用して自分たちの被害状況を英語で伝えられるようにしておけば、スムーズに意思疎通ができて、もっと迅速に手続きができたと思います。

 

 

ボッタクリ・スリはローマ文化の一部

 

海外旅行に行けば、ボッタクリやスリなどの被害はつきものです。



ヨーロッパではイスラム系の移民が社会問題化していて、移民の貧困層が生活のために犯罪に手を染めるというケースはどうしても多くなるでしょう。



ローマでは殺人などの凶悪犯罪はそれほど多くありませんが、ボッタクリやスリなどの金銭系犯罪は、他の先進国の大都市と比較しても、突出して多いと言われます。



観光馬車などはローマ観光の風物詩として有名ですが、それがほとんどボッタクリビジネスということになると、ボッタクリはローマの文化の一側面ととらえる必要があります。



同じイタリアでも、北部のミラノやフィレンツェは、ローマに比べるとボッタクリやスリは多くはありません。



例えば、フィレンツェの観光馬車については、30分50ユーロの明朗会計で、ぼったくられたという情報はネット上には存在しません。



この違いはどのあたりにあるのでしょう?。


 

北部イタリアと南部イタリアはまったく別の国?



イタリアという国はローマ帝国崩壊後、多くの都市国家に分裂し、その後なかなか国家統一されれませんでした。



1861年、英雄ガリバルディ将軍によってようやく統一され、現在のイタリアの形になりました。



しかし、現在でも都市国家分裂の歴史の影響で、それぞれの地域での独自性が強く残っているのです。




イタリア北部とイタリア南部では、別の国かと思うぐらい国民性に違いがあります。



イタリア北部の人たちはドイツやスイスに近い地域で、真面目、勤勉でクール。



それに対して、イタリア南部の人たちは明るく社交的だが、怠惰でいい加減なところがあるそうです。



北と南のイタリア人は、お互いに性格が合わないと思っている人が多く、いつも悪口を言い合っているようです。




「イタリア北部は怠け者のイタリア南部を切り捨てて独立すれば、一流先進国になれる」



というのは、イタリア北部の人が良く口にするセリフです。



実際、フェラーリ、フィアット、プジョーなどの一流自動車メーカーやグッチ、プラダ、アルマーニなどのファッションブランドはほとんどがイタリア北部発祥です。



イタリア南部の人たちは明るく社交的なのはいいのですが、ずる賢く騙すより騙された方が悪いという価値観があり、それがあのローマの堂々たるボッタクリ行為につながっていると思われます。



古代文明の本家ローマには大して努力しなくても観光客が集まってくるので、「金持ちの観光客から多少ぼったくったってバチは当たらないだろう」という考えに拍車を掛けるのでしょう。



ローマにはたくさん愛すべき部分があるわけですから、「ボッタクリ文化も含めてローマが好きなんだよ」と言う人もいるでしょうが、それでも現地の最新情報を調べた上で、万全の対策をしていきましょう。



私自身はローマに思い入れが強かったので、今回の旅でちょっと失望感のようなものが残りました。



現代生活の発祥とも言える古代ローマ人たちの叡智はもはや現代のローマには残っていないということでしょう。



ボッタクリやスリの手口を事前に教えてもらったのはありがたかったのですが、注意するあまり神経をすり減らし、正直疲れました(笑)。



のんびりリフレッシュするために旅行に来ているのに、ちょっとこれでは本末転倒ですよね。



次にイタリアに来るときはローマではなくて、北部のフィレンツェやミラノに行ってみたいと思います。