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2016年エンゲル係数が急上昇 日本の国民負担率(税金)が低いというのは本当か?

2015年(平成27年)から日本のエンゲル係数が急激に増加しているそうです。

エンゲル係数とは家計支出全体の中で食費が占める割合のことです。

 

エンゲル係数が必ずしも生活水準を反映するものではないという見方もありますが、タイミング的に見ると、消費税増税が影響しているのは明らかですよね。

 

8%の増税に加えて、値上げが重なれば、国民が生活必需品重視で余計なものを買わなくなるのは当たり前の反応でしょう。

 

 

ところが、日本の官僚はそんな現状は認めようとせず、

「日本は他の先進国と比べると国民負担率が低い。だから、消費税などの税率アップなどまだまだ負担を増やす余地はある」

と、狂ったように主張を続けています。

 

国民負担率が海外と比べて低いと上から目線で言われても、毎日ギリギリのお金で生活している国民にはまったく実感がわかない話ではないでしょうか。

 

そこで、日本の税金は国際比較で安いという主張が真実なのかを調べてみました。

 

 

日本の国民負担率は国際比較では低く見えるカラクリ

 

財務省発表のOECD(経済協力開発機構)統計によると、日本の国民負担率はG7や北欧諸国に比べて、2分の1程度と確かに低くなっています。

 

この国民負担率の算出には、租税負担と社会保険料の合計を国民所得で割るという手法が使われています。

しかし、このやり方では消費税率の大きな北欧諸国では高く出て、消費税率の小さい日本やアメリカでは低く出てしまう傾向があるのです。

 

国民所得ではなく、消費税を考慮に入れたGDPを使った算出法にすると、日本と他のG7・北欧諸国との国民負担率の差は急速に縮まってきます。

 

日本国民への税金の還元率の低さを考慮すると、財務省が主張するほどの増税余地があるのか、非常に疑問です。

 

ちなみに財務省がホームページに掲載している国民負担率国際比較の統計では、国民所得を用いたデータでグラフ化し、都合の悪いGDPを使ったデータはカッコに入れた数字にして、目立たないようにしています。

 

日本の消費税税率を国際比較で低く見せるカラクリ

 

 日本の消費税は海外と比較して非常に低いので、まだまだ税率をアップする余地が大きいとするキャンペーン報道がマスコミで盛んに行われています。

 

しかし、海外では食料品など生活必需品の税率は軽減していたり、ゼロに設定している国もあり、最高税率だけ見て比較するのはおかしな話です。

 

日本のようにすべての商品に一律に8%消費税をかけるやり方は、すでに見かけ以上に高税率になっていることになります。

 

実際、日本の税収全体に占める消費税の割合は22.4%を占め、これはすでに欧州と同レベルなのです。

 

 

公的年金への国民の信頼度が低い

 

 組織・人事分野専門のコンサルティング会社マーサージャパンは世界各国の年金制度ランキングを発表していますが、2014年の結果は、25か国中日本が23位となってしまいました。

 

その人の平均収入の何割年金がもらえるか(所得代替率)という指標で、世界の平均が52%に対して日本は35.6%という低さです。

 

さらに、年金の積立金が30年ほどで枯渇すると言われていて、高齢化社会がさらに促進する日本では、どう見ても絶望的状態と言えます。

 

 

一番の問題は、資金面のことより年金が国民に信頼されていないことだと思います。

公的年金制度は国民からの信頼が前提で成立している、という常識が官僚には欠けているようです。

 

官僚が国民の年金を使って、グリーンピアなどの公共事業、箱モノをつくったり、地方公務員が年金を横領してしまうのも、「国民のカネは俺のもの」という思い込みがあるからです。

 

厚生省の事務次官が「年金は天下り先確保のためにさっさと使ってしまえ」と言い放った議事録があるぐらいですから、国民の年金は自分たちのものだと官僚が普通に考えているのは明らかです。

 

日本では政治家による官僚のコントロールがまったくできていないので、特別会計に属するお金は国民のためではなく、官僚の利権の道具になっているのが現状です。

 

年金があてにならなければ、その分自分で貯金するしかないし、よけいな消費も控えるようになるのは、ごく自然なことですよね。

 

 

日本の教育費負担の重さの原因は世界最低レベルの公的支出

 

日本の高校・大学の教育費は大変な負担で、教育ローンを組んだりして、何とかしのいでいる家庭が多いと言われます。

 

ところが、世界標準で見ると、高校授業料は無料が当たり前、大学授業料まで無料にしている国があるぐらいです。

 

原因はハッキリしていて、日本は教育に対する公的支出(税金)が異常に少ないのです。2012年のOECD統計で、教育機関の国の支出のGDP比が世界平均4.8に対して、日本はたったの3.5。32か国中最下位でした。

 

これで果たして先進国を名乗っていいんでしょうか?

 

 

超高齢化国家なのに社会支出が国際比較で低い

 

日本の高齢化率は現在ぶっちぎりで世界一です。

 

常識的に考えれば、福祉に使う税金(社会支出)が世界一必要な国のはずですが、G7国や北欧諸国と比較したデータでは、歴然とした低さに気がつきます。

 

社会支出の内訳を見ると、高齢者にはそれなりに税金を使っていますが、家族や子供関係の予算は世界に顔向けできないほどの微々たる額になっています。

 

 

潜在的国民負担率で見るともう限界では?

 

政府の現在の財政赤字を国民が将来払うべきものと考えて、国民負担率に加算したものを「潜在的国民負担率」と呼びます。

 

2013年の潜在的国民負担率の国際統計では、日本53.2%、アメリカ42.5%、イギリス60.4%、ドイツ55.9%、スウェーデン58.9%、フランス69.5%という結果でした。

不思議なことに欧州の国々と大して変わらない水準になってしまいました。

 

財政赤字は将来国民自身が返済するものと主張している財務省が、この指標を無視することはできないはずよね。

 

財務省が仮に「巨額な債務を返済していくために、日本の潜在的国民負担率は欧州以上になってもいい」という考えなら、世界最高レベルの日本の公務員給与も半額以下にして、欧州の公務員給与水準かそれ以下のレベルにすべきではないでしょうか。