日本銀行がついにマイナス金利政策を導入しました。
金利がマイナスとなると私たちの銀行預金も目減りしちゃうの?
と不安になっている人が多いようですが、今すぐにそうなることはなさそうです。
ただし、あくまで「今すぐに」という但し書きになりますが。
マイナス金利政策とは何なのか
銀行は日本銀行の当座預金にお金を預けて、その金利で稼いでいるのですが、その当座預金に預けたら「逆にお金を徴収するからね」と言い出したわけです。
銀行は日銀の金利収入で楽チンに稼いでいたのに、それができなくなれば当然大打撃でとなります。
お金を取られる場所にわざわざ預ける奇特な人はあまりいないでしょうから。
そうなると個人や企業にお金を貸し出したり、世界中の株や債券に投資するなど、銀行本来の「リスクをとった」仕事で稼ぐしかなくなる。
運用力・営業力のない地方銀行や信用金庫は苦しくなるでしょうね。
欧州でもマイナス金利がすでに導入されていますので
「じゃあ日本でやっても問題ないじゃん」という気もしますが
日銀はすでに中央銀行自身が国債を大量に買いまくるという禁じ手を犯しています。
これ以上国債の自己買いができなくなって、仕方なくマイナス金利に手を出した
という意味合いが強いのです。
個人の預金がマイナスにならないと言うけれど
冒頭でマイナス金利政策が個人の預金に今すぐ影響することはないと書きましたが
銀行の収益が悪化してきたら、その可能性はゼロではありません。
実際に、マイナス金利を導入した欧州では個人の預金でもマイナス金利の影響で目減りしたという情報があります。
そして、マイナス金利を導入を受けて、りそな銀行やソニー銀行が個人の預金金利を下げると発表しました。
この反応の早さからして、日本でも個人の預金にマイナス金利適用されるのもそう遠くないかもしれません。
実際にそうなったら、多くの預金者は慌ててお金を口座から引き出して、タンス預金に走るんでしょうね。
日銀はなぜマイナス金利を実行したのか
これだけ危険な政策を日銀がとり続けるのも、2017年4月に予定されている消費税10%アップを何が何でも実現したいということだと思います。
とにかく「株高・円安」にもっていければ、実体経済はどうであろうと、景気は回復して、デフレも克服できた、つまり消費税アップの環境は整ったと強弁できます。
逆に言えば、「株安・円高」になってしまえば、消費税10%アップがまた延期になってしまう可能性が高くなります。
預金封鎖の件とも関連しますが、今の日本の官僚はとにかく国民の資産がのどから手が出るほど欲しくて仕方がない。
この点を理解しておけば、官僚の打ちだしてくる政策の意図が見えてきます。
消費税は税金の中でもっとも確実な税収と言われています。さらに大企業は輸出戻し税などの制度で消費税を相殺できるので、官僚の天下り先である大企業優遇制度でもあるのです。国民の資産を効率よく合法的に奪う権限の拡大と言えます。それが実現できるなら目先で多少副作用のある政策であろうと、平然とやってくるのです。
日銀の最近の政策について「黒田バズーカ」などとマスコミでもてはやす向きもあるようですが、裏を返せば、サプライズ効果狙いの市場だまし討ちしかできないということです。
日銀はもはや中央銀行というよりも公的資金を使った仕手筋と呼ぶべきではないでしょうか。